●労働組合と社会的運動とのかかわりで目指すもの

労働相談:全国一般労働組合全国協議会/北九州合同労働組合(ユニオン北九州)/National Union of General Workers<Union-Kitakyusyu>
福岡県北九州市小倉北区真鶴1-7-7

ユニオン北九州
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●労働組合と社会的運動とのかかわりで目指すもの

全国一般全国協・ユニオン北九州◆組合の結成・様々な労働問題の相談に対応。
公開済み -U174の ◎コラム · 1 6月 2024
Tags: 平和 社会運動
●労働組合と社会的運動とのかかわりで目指すもの
 ー社会で育まれた人間としての尊厳を、企業の私利私欲で潰されないためにー
 労働者の生活と、それを支える労働運動も社会も企業経営も、平和で平等な社会と、持続可能な地球環境が無ければ成り立ちません。

 そのため近代民主主義国家は、利潤追求を目的とする経済活動と国民の権利とを調整しており、我が日本国憲法においては、特に労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権や、労働法制によって労働者の権利と生命を保護しています。

 資本主義経済の活動の原理は、人間そのものから地球環境まで、その生命や資源の全てを、私的な利潤の為に、お金や利益に変えようとします。しかし、それらの資源は本来、誰のものでもない社会の共通資本、或いは共有財産です。

 その共通資本が無ければ資本主義経済も成り立たないのですが、資本主義の経済活動の欲望的な原理そのものには抑制機能はありませんから、産業革命以降から労働者の奴隷的搾取が蔓延しました。

 その結果、労働者の抵抗運動が必然化し、いくつもの搾取と闘いの犠牲の歴史の上で、労働者の保護の概念が今日まで築き上げられてきたのです。しかし、それでも搾取の波は収まりません。

 メーデーの起源である、1886年のシカゴの統一ストライキから130年を過ぎてもなお、日本の産業構造の末端に置かれ、大きな経済力の養護もなく、基本的人権すら危うい中小零細の未組織~非正規労働者の実態は、最低賃金張り付きの給与と理不尽な成果給と合理的理由のない有期契約を強いられ、明日の生命と環境を維持する事で精一杯の貧困に追いやられ、やむなく負債を負い、常にセーフティーネットを必要としています。

ー この世の最大の搾取と非生産的行為は、「戦争」である。
 私たちは無慈悲な市場原理によって搾取された自らの体力や人権や、地球環境などの共通資本の価値を、労働時間以外の場所で再生産し、或いは再構築し続けていかないと、本当に生きていけなくなります。

 労働力を蓄える休息と私生活の場所で、平和と自由と平等と人権が担保された地域環境を求める事は、最も健全な経済と社会を構築する行為に他なりません。

 最低賃金の引上げ要求などをはじめ、経営側の論理と経済効率で弾かれた労働の価値や働かせ方を、職場の中で孤立せず、常に社会環境の中から問い直し共通資本として担保する事は、極めて必然的です。

 それは日本国憲法前文にある、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と言う事の実践に繋がるものと考えます。

 この世の最たる人間の搾取と非生産的行為は、戦争です。私たちの憲法9条は、政府に戦争の権限を与えない事が最良の戦争抑止であることを、実証しています。

 再び、日本が戦争の惨禍を繰り返さぬよう、全世界の共通資本としての平和と自由と人権と持続可能な地球環境を希求する、様々な市民による自立した社会的運動と活動は、国民主権によって労働環境を下支えし、私たちが困窮から逃れ生き抜くための価値観を育み再構築し、私たち自身を強くするものです。

ー 企業内の利益構造に取り込まれない、労働組合の成長の為に
 移民労働者の存在や、戦争や防衛の問題のリアルな最前線に置かれ基地問題に直面する人々、或いは原発問題など産業に付随する環境問題、気候変動による災害など環境問題の狭間に置かれる地域の人々、歴史的に逃れられない差別的環境に置かれたり、冤罪に苦しみ社会から疎外される人々、更にジェンダー平等の課題や政治的諸課題への情報発信など、積極的に社会の諸問題にボランティアで取り組む人々も多くいます。

 これら市民社会の多様なアイデンティティを持つ人々との出会いは、私たちの産業と仕事と働き方への新鮮な眼差しを与え、経営者の理不尽な行為に立ち向かう勇気に繋がり、個々の組合員の力を強め、それが組合全体の成長に繋がります。

 何よりこうした社会的諸課題が、労働者の格差や貧困の問題と密接不可分でありながら、画一的な「自己責任論」への同調圧力で、孤立させられる事が多々あります。

 人間の社会は、資本主義経済であろうとなかろうとも、どんな雇用形態や身分であろうと、社会環境と労働を含む生産構造は密接不可分ですから、経営的評価や個人の努力では絶対に表せない、社会そのものの実相を、一企業の画一的な利益構造に取り込まれることなく、多様な産業の労働の価値へフィードバックして再構築し、循環させていく運動の力が、絶対的に必要になります。

 私たち労働組合の、あらゆる交渉課題への対策や労働政策改善への社会的要求は、こうした社会構造の中にある労働者の地位向上と利益を深く追求することで、適切な方針を打ち立て、強化されていくのです。

 特に昨今の、企業も国家も個人も入り乱れたSNSやAI技術の氾濫は24時間365日、端末を通じて個人への情報過多をもたらしていて、それは企業経営のみならず個人の生活や価値観においても、寝ても覚めても目的の無い情報と技術革新の洪水に振り回され、個人は分断され、社会と自分の在り方や目的を見渡す余裕が失われるばかりです。
 しかもその技術が決して労働環境を改善するものでなく、一人勝ちのデジタルプラットフォーム勢力による新しい労働者の搾取の構造も、問題として顕在化してきています。
 この圧倒的な情報過多の時代だからこそ、実は、労働者の人間性を如何に保つのかを問い技術革新と成果主義的な効率性に捕らわれない、労働政策や労働問題への、より深い社会的な視座が重要さを増していると言わざるを得ません。
 
 私たちユニオン北九州は、この様なことから広範な社会運動を通じて、多様な社会の実相と労働問題の実相とを繋ぎ、紐づけ、時には社会的な政策の要求として取り組み、絶えることのない働く悩みを要求に作り替え、社会の共通資本を守る平和な職場環境の獲得と、広範な労働者同士で支えあう地域の共同体としての活動に努めています。

 組合員の有無を問わず、一人でも多くの仲間が、宣伝する活動や行動へ、共に参加されることを願う次第です。

                                                 


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