●全国一律最低賃金1500円を実現する~その必要性と可能性

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●全国一律最低賃金1500円を実現する~その必要性と可能性

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公開済み -U174の ◎コラム · 19 7月 2024
Tags: #最低賃金 #1500円
●全国一律最低賃金1500円を実現する~その必要性と可能性
2024年7月13日/北九州生涯学習センターで行われた、下関市立大学の関野先生による最低賃金1500円の実現への、学習会の要点の報告です。

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● 失われた30年と言われる長い日本の景気低迷。
 2%のインフレ上昇を目標にして、デフレ脱却で景気回復を狙ったアベノミクスも効果は無く、それどころか急激な物価上昇で実質賃金の低下が過去最長とも言われています。
 そして、世界で3位だった日本のGDPも、ドイツに抜かれ4位となったことが2月に話題になったところです。

● GDP=国内総生産を判断する費目の半分以上は個人消費支出なので、世界的に見て明らかに低い日本の実質賃金の低迷が、実は経済停滞の要因と考えておかしくありません。
 また、GDPとは付加価値生産額であり、付加価値とは適正な賃金を反映した適正な価格による取引が無ければ伸びません。

● 関野先生は今回、実はこのGDPが下がりながらも逆に、上位2%の大企業の経常利益は2010年から2022年の間に約4倍、株主配当は8倍と膨れ上がっていて、一方でその従業員の給与は上がっていない事を指摘しました。
 つまりGDPの付加価値額が伸びない反比例を引き起こす、大企業と株主優遇で利益を偏在させる、経済政策の矛盾を解説してくれました。

● 更に市民と労働組合の役割として、低賃金長時間労働の弊害として、少子化などの社会問題との相関を示し、8時間労働で暮らせる賃金への引き上げで長時間労働を抑止する必要性も示されました。

●また、最賃がプラス改定されても失業率は上がっていない事や、2020年からの世界的な物価上昇の段階で、欧米が最低賃金を大きく引き上げているのに比して、日本の上げ幅の低さも指摘しました。

●総じて、インフレ不況の危機を回避する為にも、適切な賃金を反映した付加価値によって生産性を上げ、長時間労働も減らし、健全な需要効果を生むことが重要で、そこに最低賃金の重要性が増している事を示してくれていました。

●その上で最賃引上げの具体的な政策と取り組みとしては、

(1)最低賃金を1500円(月額25万円)と想定した財源規模を示し、

(2)それを中小企業の社会保険料負担分の減免で支援する提案から、減免分の財源として各種の企業や投資に関する、優遇税制の見直しなどの解説がなされました。

(4)現行の最賃制度の地域ランク制については、生計費は全国で平均化していて地域間格差の不合理性があり、全国一律への法改正が必要と示されました。

(5)また、これまでの最賃決定要因の三項目の指標が、労働者が困窮する実態とかけ離れて、理不尽に低く見積もられており、変える必要性が訴えられました。

(6)そして当面の現実的な労働組合の取り組みとして、審議会の委員に非正規と女性の代表を増やすことや意見書や異議の提出など、地方議会での意見書採択要請を含めて、手続きに加わる手順を網羅して解説してくれました。
 
● 今回のレクチャーは非常に内容が濃く簡単に語れませんが、その具体的な根拠から最賃大幅引き上げへの意欲を与えてくれるものでした。

●このレクチャーでのもう一つのポイントは、労働に対する「付加価値」と経済との結びつきです。

◎私たちは、どんなに劣悪な労働条件や環境であっても、使用者の指揮命令下で働く条件に変わりはなく、その場を投げ出す事はしませんし、許されません。
 私たちには、賃金への評価に関係のない雇用条件が最初に強いられ、また会社の指示の前に、個人の人間性の努力で仕事の秩序を保っているのです。

◎個々の会社の能力による売り上げと言う数字に反映されない、労働者個人の良心としての「やりがい」を、経営者は「付加価値」として積極的に評価をしません。
 この万人の労働の価値を、経営者の能力に関係なく担保する事が最低賃金の重要性であり、労働者の賃金が、経済の根幹にある重要な要素である事を、今回の関野先生のレクチャーでは示されていると思います。

●この最低賃金引上げは全国運動として展開されていますが、それは合理性の無い有期契約や非正規など、暗黙に低賃金を強いる雇用形態の不利益を押し返す効果として、全国の労働者への影響力の拡大につながり、一方で組合員の各職場の賃金の評価と、要求の根拠ともなります。
 これは重要かつ恒常的な活動になりますので、是非、一緒に取り組んでいきましょう。

    
 
   
 
   
 
 
 
 
 


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