22年3月30日 昭和タクシーの採用差別事件~勝利的和解の報告
昭和タクシーの採用差別事件~争議について、勝利的和解を勝ち取りました!
3月30日、現・未来タクシー(元・昭和タクシー/北九州市小倉南区)による、組合員(1名・17年間勤務)採用差別について、福岡県労働委員会において勝利的和解を勝ち取りました。これは、①2020年の最低賃金請求への報復としての勤務制限、②2017年後半からの大和タクシーによる経営統合の動きから、最終的に大和タクシーのK社長が未来タクシーを設立し、昭和タクシーからの譲渡譲受として未来タクシーへ移行(2020年11月)した事に伴い、正当な組合活動(有給休暇の取得や最低賃金請求等)を理由として採用差別を行ったこと、③その後の団交拒否について、労働組合法1~3号違反の不当労働行為として2021年8月に労働委員会への申立てを行い、争ったものです。経過の詳細は省略しますが、結論から言うと会社の不当労働行為は明白なのですが、企業承継の高い壁が立ちはだかりました。当然、会社側としては、昭和タクシーは廃業し未来タクシーは別法人であるから係争の対象にはならず棄却すべきと、証拠もなく一方的主張を行ってきました。この点は当初から委員からも厳しいとの見解を示され、棄却覚悟の争いとなりました。しかし、実態として昭和タクシーを支配していたのは大和タクシーのK社長であり、そのK社長が未来タクシーを設立して昭和タクシーの乗務員を引き継いでおり、完全に三社一体の行為である事、廃業直前の昭和タクシーの団交で、K社長自身が採用差別の意図による面接手続きを明言していること、未来タクシーの事業免許取得は、昭和タクシーからの譲渡譲受として行われている事、これらの重要な事実を立証して闘いました。実は労働委員会からは、棄却の可能性が高い事を背景に当初から金銭和解の提起があったのですが、その目安金額が余りにも低額過ぎて(タクシー業界がいかに見捨てられた産業なのか、そんな思いをさせられました)、これに組合員は「侮辱」であると怒りを示し、以後の係争手段を含めて棄却覚悟で審問に突入しました。案の定、大和タクシーのK社長が昭和タクシーを支配し、組合員に対し不当な面接手続きを強いた事、何よりも社長が自身の会社の譲渡譲受手続きを行政書士に丸投げで、タクシー事業者としての法令知識も無い、とんでもない実態が浮き彫りになりました。しかしそれでも尚、審問終了以降に行われた異例の調査の席で、委員から棄却の可能性が高い事を示唆され改めて和解の提起があり、労使委員を含めてK社長への説得が行われました。結果、未来タクシーの謝罪と当初の金銭額の目安よりも引き上げられた点を、棄却覚悟で争い不利な状況から押し返した成果とし、苦汁の決断でしたが和解の選択に至りました。争議を支援してくださった仲間のみなさん、心から感謝を申し上げます。もともと企業としても、地方郊外のタクシー会社と言う歩合制の賃金制度にまみれた零細企業で、尚且つコロナ禍に見舞われる最中、60歳を過ぎた組合員は、悪徳企業に立ち向かい、自身の権利行使によってそこに生活を見出し、更に現在のJRへ至る、国鉄解体の国家的不当労働行為以降の企業承継による組合切り崩し手段の悪弊に挑みました。このタクシー産業の、コロナ禍に炙り出された歩合制賃金オンリーの奴隷的搾取による、経営者の無能無策な経営環境下での生活防衛、そこで直面した悪辣な差別による策動としての企業承継への闘い、これら、まだまだ全国の労働者の闘争が求められている事の課題に直面した事こそが、大きな成果であったのかも知れません。昭和タクシーとしての闘争は終えますが、組合と労働者の闘いは更に続きます!